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■このコーナーでは管理人が独断でえこひいきするおすすめの1冊を不定期にピックアップしてご紹介します。もしかしたらあまり皆さんには知られていない絵本もあるかもしれませんが、「隠れた名作・傑作」絵本発掘を目標にご案内します。表紙画像もしくはタイトル名をクリックすれば、ご注文ページにジャンプします。

ヤクーバとライオン/ティエリー・デデュー

 ヤクーバとライオン<1>勇気 
 
ヤクーバとライオン<1>勇気 ●作/ティエリー・デデュー●訳/柳田邦男●講談社刊●32P●1,575円(税込)

※本のタイトル文字か表紙画像をクリックするとアマゾンのご購入ページにジャンプします。

 この「ヤクーバとライオン」は1と2の2冊ある。1は「勇気」、2は「信頼」である。絵はモノクロで、どちらかというと版画タッチのような趣で、非常にシンプルではあるが、非常に迫力を感じる絵である。簡単にお話の展開を説明すると、舞台はアフリカの奥地の小さな村である。

 成長した少年たちが戦士として認められるためには、たくましい勇気を示す意味でライオンとひとりで戦って、倒さなくてはならない。そしてその時は来た。ヤクーバはライオンに遭遇し、今こそ勇気を奮い立たせて戦うときだ!と思った。しかし、そのときライオンと目が合った。しかし、そのライオンは大きな傷を負って、もはやヤクーバと戦う力すらも残っていなかった。ライオンの目が語りかけた。「おまえには、二つの道がある」と。

 ライオンを倒してりっぱな男になったと認められるか、殺さないで気高い心を持った人間になるか…。しかし、後者は「弱虫」として仲間はずれになるリスクがある…と。

 夜明けまで思案したヤクーバは「殺さない」ことを選択した。そしてその結果、仲間の少年たちがみな名誉ある戦士になったにも関わらず、ヤクーバは村のはずれで牛の世話をすることとなった。しかし、その後このヤクーバの選択が理由なのか、村の牛たちはライオンに襲われることはなくなったのである。

 全体的な構図も非常に大胆である。版画のような、黒のチョークで描いたような絵は強烈な印象を見るものに与える。

 物事にはいろいろな考え方がある。傷ついたライオンがヤクーバに言ったことも、見方を変えれば自分が助かるための賢い論理と思うかもしれない。もちろん、ライオンからすれば、まさに九死に一生から救われた「お礼」としてその後、村の牛を襲わないことで恩返ししたとも捉えられるかもしれない。

 しかし、このライオンの言葉と、ヤクーバの選択した結果はいろいろなことに置き換えられるし、非常に奥深いものである。

この大型絵本に巻かれた帯には「戦わないという、勇気。」と大きな文字で記されている。これは、人によっては消極的な思考で、結果「負け組」になることを甘受すると思うかもしれない。実際、このお話でヤクーバは他の少年たちがみな戦士になったのに、ひとり落ちこぼれとして牛の世話が仕事となる。

 しかし、もしヤクーバが勇気を示すために傷ついたライオンを倒したとしたら、その後の展開はどうなっただろうか?仲間のライオンがそのことに激怒し、報復のために村の牛たちを襲っただろう。すると、牛を襲われた村人たちはその報復でライオンを殺すだろう。そしてその結果…という具合に報復は半永久的に連鎖反応を起こし、報復が報復を呼び繰り返されることになる。その連鎖は果たしてどこまで続くのか?

 どちらかがギブアップするまで、間違いなく繰り返される。もしかしたら、どちらかが生き残るということもなく、どちらも破滅するかもしれない。もし、どちらかが生き残って報復にピリオドが打たれたとしても、多分年月を経て、再び報復は繰り返されることになるだろう。

 一見すると、「弱虫」「消極的」「マイナス思考」と思われがちな選択も、裏を返せば「強さ」であり「勇気」なのである。イケイケ人生の人からすればひたすら全力で駆け抜けることが「強さ」であり「勇気」であり、人生の勝利者への唯一の道かもしれない。

 しかし、むやみやたらに前進すること同様に立ち止まること、場合によってはちょっと逆戻りすること…それができることも「プラス思考」であり「強さ」であり「勇気」なのではないだろうか?表面的には、確かに報復せずに負けを認めることは敗者である。いくら気高いと主張しても、所詮一般社会の仕組みの中では落伍者である。

 しかし、それらは何が大切か?という価値基準の問題である。性善説を前提とした上で、「人として」気高い心を持った敗者(一般的な意味で)になるか、「人として」名誉と地位と富を得て勝者になるか…そのどちらをも選択できるとしたら、どちらを選択すべきか?「人として」どちらが正しい選択なのか?

 ある意味では非常に衝撃的な絵本作品である。この絵本は2部作的な意味合いゆえ、2冊揃えてお読みになることをおすすめする。

ヤクーバとライオン<2>信頼 ヤクーバとライオン<2>信頼
●ティエリー・デデュー/作 ●柳田邦男/訳●講談社刊●32P●1,575円(税込)

《ティエリー・デデュー》1955年フランス生まれ。絵本作家、イラストレーター。94年「ヤクーバとライオン1勇気」でフランスのPrix sorcieresを受賞。


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