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発掘えこひいき絵本紹介
■このコーナーでは管理人が独断でえこひいきするおすすめの1冊を不定期にピックアップしてご紹介します。もしかしたらあまり皆さんには知られていない絵本もあるかもしれませんが、「隠れた名作・傑作」絵本発掘を目標にご案内します。表紙画像もしくはタイトル名をクリックすれば、ご注文ページにジャンプします。

青のない国/小さい書房

 青のない国 
 
青のない国 ●作/風木一人●絵/長友啓典・松昭教●小さい書房刊●1,404円(税込)

※本のタイトル文字か表紙画像をクリックするとアマゾンのご購入ページにジャンプします。

 シンプルな表紙に描かれたシルエットの男がロダン作の彫刻「考える人」のようなポーズで描かれています。巻かれた帯には「何が大切かは、自分で決める」と書かれています。お話は人と話すより花と話す方が好きな男がいた…という設定から始まります。何故なら花はウソをつかないから…。

 そんな世捨て人的な男がある時、今まで見たこともない植物に遭遇します。男はその未知の植物を丁寧に根を含め、スコップで掘り出し、家に持って帰って、自宅で育てることにしました。男はその未知なる植物に溢れる愛情を注ぎます。やがて、つぼみをつけ、未知なる植物は花を咲かせました。その花は見たこともない美しい色でした。しかし、花は永遠に咲いているものではなく、やがて枯れていってしまいます。

 しかし、花から獲れた種を男は次の年の春にまきました。やがて芽が出ると、男はうれしくて仕方ありませんでした。そして、その例えようもない美しい花を誰かに見せたいという気持ちになり、幼馴染の友人の画家に見せました。花を見た友人の画家は驚嘆し、その花の色は「青」ではないか?と推測しました。画家の話を聞いた男はそんなバカな…と思いました。なぜなら、青い色が、この国には存在しないからです。

 この国には「青の神話」があり、かつては神も人間も動物も同じ世界に存在し、同じ言葉を話していました。その神話では「青」という色は象徴的な色だったのです。しかし、ある日突然、人々の前から神が姿を消し、同時に「青」も消えてしまい、以来「青」がどんなものかも忘れ去られてしまいました。そんな伝説の「青」が未知なる花によって再現されたのでは?

 …やがて、男の育てた花は話題となり、多くの人がその花を見に来るようになりました。その中で、花をもっともっと増やして、もっとたくさんの人に鑑賞してもらうためにテーマパークを建設したい、と話を持ちかけてきた会社の社長がいました。いろいろ考え、ためらった挙句、男はそのテーマパーク建設に賛同する決心をしました。

 しかし、いくら待ってもその話を持ちかけた会社の社長からは何の音沙汰もなくなってしまいます。やっとのことで連絡がついた社長から聞かされたのは、本当の「青」が発見されたからでした。その「青」は古代遺跡から掘り出された球形の石でした。博物館で展示公開された「青い石」を男も見に行きました。そして、実際に「青い石」を見た男は、その「青」は男の育てた花の色と似ているが、明らかに何かが違うように思えました。

 やがて、かつては数え切れない見学者が訪れた男の育てた花は「偽者の青」として批難され、忘れ去られていきました。心身ともに疲労困憊した男の元に、ある日見知らぬ女が一人訊ねてきました。家で寝ている病気の娘に「青い花」を見せてやってほしいと言うのでした。

 男が自分の花は本物の「青い花」ではないと断ると、女は「そうかもしれないが、娘は遠い博物館まで行くことはできないから」と懇願します。男は花を持ってその娘を訪ねました。見るからに死期が近いと思われる娘に、男はまるで実際に自身の目で見てきた体験談のように「青」について話しました。

 やがて、季節が巡り、男の元にはたくさんの花の種が残りました。男はその種をいろいろな場所に植えました。他の人にも協力してもらい、「青の花」ではなく、ただ単に美しい花としてたくさんの場所で育てたのでした。

 …64ページという絵本としては多いページ数です。絵もまさに大人の絵本に相応しいシンプルながら、そのシーンを適切に表現しています。シルエットで描かれたメガネをかけた男はシルエットなのに、その姿が明確に見えてくるようにさえ感じます。

 途中からふんだんに使われる「青」がそれまでのモノクロの絵と見事にマッチして、このお話をよりドラマチックに表現しています。表紙に巻かれた帯に記された「何が大切かは、自分で決める」…この言葉が浮き彫りにされてきます。青い石の出現によって、それまでもてはやされた男が発見し、育てた青い花は「偽者」のレッテルを貼られ、何の価値もなくなってしまいます。

 しかし、それがどうだというのか?何をもって「本物」として「価値あるもの」と評価できるのか?青い花が、仮に偽者の「青」色の花だからとして、その価値が失われるとしたら、それは世間一般的な評価です。

 多分、誰にでも「大切」なものがあるのではないでしょうか?それは、いわゆるブランド物でしょうか?そうかもしれません。しかし、そうでなくても、その人にとってかけがえのない物が必ずあるのではないでしょうか?

 他の人にとって、それが何の価値のないものであり、世間一般的にもまったく評価されない物であったとしても、その人にとって価値ある物は何よりも大切なものなのではないでしょうか?是非、一人でも多くの人に読んでもらいたい1冊です。


トップページ発掘えこひいき絵本<14>青のない国
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